
私は趣味で動画編集をしておりまして、これまで何種類かの動画編集ソフトを使ってきました。実際に使った経験から感想をまとめたいと思います。
私はゲーミングPCで動画編集をしていますのでグラフィックカードを使ったハードウェアエンコード( *以下、GPUエンコード) の使用可否やその速度も気になります。したがいそのような観点からも感想をまとめたいと思います。
なお、今回はタイムライン編集タイプのみを扱っています。PegasysのTMPGEnc Video Mastering WorksやTMPGEnc MPEG Smart Rendererもちょくちょく使うのですが今回はこれらは含めていません。
目次
有料・無料について
それぞれのソフトの説明に入る前に、大事な情報である有料/無料について一覧にまとめました。
PowerDirector 18 Ultra | 有料 |
AviUtl | 無料 |
Premiere Pro | 有料 |
DaVinci Resolve | 無料 (有料で高機能の「Studio」版が存在する) |
PowerDirector 18 (Ultra)
バランス良し
PowerDVDとかで有名なサイバーリンクの製品です。同一バージョンにいくつか種類がありますが調べたところUltraを推す意見が多かったのでUltraを購入しました。
UIのわかりやすさに優れており、動画編集の初心者の方にもとっつきやすいかと思います。テロップや字幕を入れる際の操作が直感的にできるし、それらを装飾する場合の表現も豊富にそろえられています。
ただ、タイムライン上のクリップを選択するとシークバーもその位置に移動してしまったりとちょっとこれはどうかな・・という点もありました。
印象に残った点として、動画編集ソフトにはたいていモザイクやぼかしの際にモーショントラッキングといって動体を自動追尾してマスクをかける機能があるのですが、これがなかなか面倒な作業で、色の境界がはっきりしたアニメなどと違い、境界が曖昧な実写映像ではたいていのソフトで100発百中とはいかず手直しが必要なものなんですが、PowerDirectorのトラッキングは実に正確だったのが印象的でした。
GPUエンコードはUltra版で標準で対応していました。ソフトウェアエンコードと比較した場合の速度は正直それほど速くはなかったかと記憶しています。
PowerDirectorはホームユース向けの製品として販売されている商品ですが、たしかにホームビデオの編集やYouTube投稿なら十分な機能があるかと思います。ただ、もし動画編集をとことん極めたいと決めている方の場合は特にエフェクトを自分のイメージ通りに創るという点で不満が出てくる可能性はあります。
ググっても情報は少ない・・
困ったときに頼れるネット上の情報は、正直、豊富とは言えません。多くのバージョンが存在するため、求めている情報にたどり着いたかと思ったら自分の使っているバージョンとは違う・・ということもよくあります。ただ、よくわからない不具合というか謎のエラーでソフトが落ちてしまうとか、そういう類のトラブルは私が使っていた限りではありませんでしたし、メーカーのサポートに問い合わせることもできるでしょうから、トラブルシューティングについてはそれほど懸念する必要はないかと思います。
導入コスト | ★★☆☆☆ |
初心者向け | ★★★★★ |
ネット上の情報 | ★☆☆☆☆ |
AviUtl
長い歴史を持つフリーの動画編集ソフト
初版は22年前にリリースされたという歴史のあるフリーの動画編集ソフト。有志によって作成されたプラグインを追加していくことで機能の拡張が可能になっています。
標準ではタイムライン編集の機能はなく、「拡張編集プラグイン」というプラグインを導入することで実現可能です。
GPUエンコードはNVIDIA製のGPUについてはプラグインを追加することでNVENCという方式でエンコードできます。ソフトウェアエンコードに比べての速度はまあまあ速い、という感想です。
フリーソフトですのでトラブルはすべて自力で解決する必要があります。見つけたプラグインをどんどん追加していく間に、謎のエラーでソフトが強制終了されたりなどの問題が起きても、有料ソフトならサポートに問い合わせすることもできますが、フリーソフトの場合は自力で解決する必要があります。トラブルシュートばっかりに時間をとられて、本来の目的である動画編集ができない・・そんなことになってしまう可能性もあります。
ただ、長い歴史のあるソフトであるため、多くのブログ記事やYouTubeの動画でAviUtlを使った動画制作のハウツーや環境構築ガイドが紹介されています。ただ特定の操作でいきなりソフトが落ちるなどのトラブルは個別の環境によるものが多く、そうしたトラブルに対しては自力での解決を必要とされることが多いと感じます。
動画編集の知識に加えてWindowsの仕組みにもある程度、精通している方にはオススメです。
導入コスト | ☆☆☆☆☆ |
初心者向け | ★☆☆☆☆ |
ネット上の情報 | ★★★★☆ |
Premiere Pro
動画編集ソフトの頂点?できないことはない・・かも
動画編集に興味を持った方なら必ず知っているであろうAdobeの製品です。映画「シン・ゴジラ」の制作に使われたことでも有名ですね。Premiere Proについては値段によって機能を差別化するかたちのリリースはされておらず、すべて同じです(Premiere Elementsという簡易機能の廉価版は存在します)。
機能についてですが、タイムライン編集をするうえでできないことはない・・という感じですね。あまりに機能が多すぎて私もすべての機能を使ったわけではありません。ユーザーインターフェース(UI)は親切丁寧だし、使い始める前にマニュアルを熟読しなくても、当たり前に感じたままに直感的に操作すればやりたいことが実現できるようになっています。さすがいいお値段だけのことはあります。
お高いが学生さんは学割が使えます
現時点では買い切り型の提供はされておらず、使用料を払い続ける必要があります。 その値段ですが、まあAdobeですのでなかなかのいいお値段です。私の場合は趣味レベルには贅沢かなと判断して今は使っていません。 ですがAdobeの製品は学割が使えますので学生さんにはお金の面での導入の敷居がグッと下がります。
GPUエンコードは標準で対応しています。ソフトウェアエンコードと比べたときの感動は、今回紹介したソフトの中ではPremiereが一番大きかったですね。挙動もGPU-zでGPU使用率を確認するとキッチリ50~75%とか使ってくれているタイプで好印象でした。
After Effectsも欲しくなる・・かも
ただ、同社のAfter Effectsとの住みわけがあるためやむを得ないのでしょうが、凝ったエフェクトについてはできることが少なかったり、できたとしてもPCが重くなったりして非常に時間がかかったりすることがありました。After Effectsについてはここではあまり詳しくは説明しませんが、尺の短い動画に多数のエフェクトを詰め込んで「クールな映像だね!見たことないよこんなの!」と言われるような映像を作るにはAfter Effectsの導入も必要になってくるのかと思います。
動画編集を仕事にしたい人(特にフリーランス)なら、どうしてもAdobe製品に習熟することは不可避でしょうからそのようなキャリアプランを描いている人なら勉強代・修行代として初心者のうちから手を出すのもアリかと思います。サポートもちゃんとありますし技術を向上させるためのセミナー類もよくみかけます。
ネット上の情報は、トラブルシューティングについてはそこそこあると感じました。ただハウツーに関しては、上でも書いたようにPremiereでやりたいことを検索したらAfter Effectsの情報がよく出てくる、ということが多かったですね。
導入コスト | ★★★★★ |
初心者向け | ★★★☆☆ |
ネット上の情報 | ★★★☆☆ |
DaVinci Resolve 18
情報が少ない・・が機能はすごい
私も最近までこのソフトの存在を知りませんでした(笑)。 オーストラリアに本拠を持つ
Blackmagic Designという会社が販売・配布している動画編集ソフトです。
この記事を書いている時点では、フリー版と有料のStudio版が存在します。私は現在フリー版を使っています。
まだそれほど使い込んではいないのですが、印象はこんな感じです。
- タイムラインの操作は少しだけ独特で慣れが必要かも
- 同じくエフェクトや色調整がタイムラインではなく別の画面になるのでこの点も慣れが必要
- フリー版はGPUエンコードができない(未確認ですがざっと調べた限りでは)
- 複数のプロジェクトを開くとかなり重くなる(私は、クリップをプロジェクト間でコピペするときだけ開き、それ以外は閉じています)
日本語の情報はまだ少ない
公式から日本語のガイドブックや動画も公開されています。ただすべての情報が日本語化されてはいないようです。
DaVinci Resolve 16 – トレーニング | Blackmagic Design
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/training
困ったときのネット情報ですが、日本語の情報は多くはないです。英語ならWEBサイトや個人ブログ、YouTubeの動画にもハウツー動画がありますので英語に抵抗がない方なら得られる情報は増えます。
おわりに
以上、私が実際に使った動画編集ソフトを比較しました。
最後まで読んでいただいてどうもありがとうございました。