私の好きな映画のジャンルにゾンビ映画があります。小学生の頃にジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」を初めて観た時の衝撃は忘れられません。またもちろん私のブログの頻出ワードであるゲームにおいてもゾンビゲームは大好きなジャンルの一つです。
今回の記事ではそんな私がオススメするゾンビ映画をランキング形式で紹介したいと思います。
目次
10位 – 地獄の謝肉祭
英題 | Cannibal Apocalypse |
監督 | Antonio Margheriti |
制作年 | 1980年 |
なんで感染する・・?
イタリア&スペインの合作映画です。ベトナム戦争に従軍したアメリカ兵が捕虜となり、飢餓のあまりに人肉を食べてしまう。そして帰国後になぜかその人肉嗜好がどんどん市民の間で感染して広がってしまいパニックに・・という亜流のゾンビ映画です。
私のつたないあらすじではなんだかB級パロディ映画のように感じられたかもしれませんが(笑)、いたって真面目に作られているシリアスなパニック系ホラー映画で、話のネタとして観てみるといいかと思います(B級という指摘には返す言葉がありません)。
9位 – ランド・オブ・ザ・デッド
英題 | Land of the Dead |
監督 | George Andrew Romero(ジョージ・A・ロメロ) |
制作年 | 2005年 |
御大の一撃
ロメロ監督の21世紀のゾンビ映画。高い知能を持った「ゾンビを導くゾンビ」などの新趣向が見どころです。ノソノソと歩き、群れで襲ってくるというトラディショナルゾンビを楽しめる最後の作品かもしれません。ただこの作品のゾンビは膂力(りょりょく)が少々強すぎに振られているのが気になりますが・・(笑)。
8位 – ゾンゲリア(DEAD & BURIED)
英題 | Dead & Buried |
監督 | Gary Sherman(ゲイリー・A・シャーマン) |
制作年 | 1981年 |
目に注射器、浜辺で丸焼き、鼻から硫酸
アメリカ映画です。ひなびた田舎町だけが舞台の低予算映画ですが、そういう映画が好きな私のような人も少なくないのではないでしょうか。
サスペンス・謎解きの要素が強い映画なのでネタバレ回避のためあまり書けないのですが、静かな町で残酷な連続殺人事件が起き、主人公の保安官が捜査に乗り出すが、なんか死んだはずの人が背後で動いてるっぽい、という感じのプロットです。
数々の残酷シーンは公開当時けっこういろんなメディアで宣伝されていたように記憶していますね。
さてこの作品がゾンビ映画か、と問われると一寸迷ってしまいます。ですが、今日のゾンビのイメージを創造したのはジョージ・A・ロメロ監督ですが、それ以前のゾンビの概念といえば、映画「恐怖城(英題:White Zombie)」で描かれていたような「人間によって復活させられ使役させられる死者」というものだったわけです。
この作品はその設定に忠実に倣っているといえますので、資料的な意味として今回のランキングに加えました。
完全に余談ですが、私は最近までこの作品の英題を「Dead & Bullet」だと誤解していまして、「死と弾丸」とはなんともこの作品のタイトルとして合ってるよなあーっとひとり合点していました(反省)。
7位 – サンゲリア
英題 | ZOMBIE |
監督 | Lucio Fulci ( ルチオ・フルチ ) |
制作年 | 1979年 |
虫わきすぎ
ホラー映画ブームの際に大量生産されたマカロニホラー。その中でも抜きんでているゾンビ映画です。
キッチリ真面目に作られているゾンビ映画という印象です。ゾンビの設定において特にトガった冒険はしておらずトラディショナルゾンビです。
だがしかし、
とにかくゾンビが汚い(笑)
ゾンビはもう腐りまくってて穴だらけ、ゴカイとかウ〇虫とかがこれでもかとうごめいている。
イタリアンホラーってこういう演出のものが多いんですが、この作品も汚さの面ではぶっ飛んでます。
ともあれ、全体的にはきっちりと仕上がっている真面目なゾンビ映画です。
ゾンビ映画好きなら見逃せない一作です。
6位 – スペースバンパイア
ヘンリー・マンシーニ作曲のこのテーマソングがあまりにも有名(曲が独り歩き)ですね。
英題 | Lifeforce |
監督 | Dan O’Bannon (ダン・オバノン) |
制作年 | 1985年 |
おっぱいに気を取られすぎ注意
そして女性エイリアン役のマチルダ・メイの美しい裸体に胸躍らせたかつての少年も多いはず。私のことです、はい(笑)。
さてこの作品、純粋なゾンビ映画ではないのですが、美女エイリアンに精気を吸われた人間がゾンビ化して別の人間の精気を吸う、吸われた人間もまた・・という設定ふくめ、感染者の見た目もまんまゾンビ映画です。
ただ、ゾンビ映画によくある、感染した後の絶望の中に育まれる愛とか、自己犠牲とかそういった要素はないんですね。
興行的にも評価的にも今一つだったのは、いろんな要素を盛り込みすぎてそれぞれが中途半端になってしまったからなのかとおじさんになった私は考えたりします。
ともあれ決して駄作ではなく、細かいことを気にせず楽しめるクオリティのあるSF作品です。
5位 – 死霊のえじき
英題 | Day of the Dead |
監督 | George Andrew Romero(ジョージ・A・ロメロ) |
制作年 | 1985年 |
ロメロゾンビの集大成 シリーズ未見者にもオススメ
ロメロ監督のゾンビ3部作の最後の作品です。プロット、特撮技術、役者、そういった要素の総合点として集大成と言えるのではないでしょうか。ロメロ監督のゾンビ3部作を見たことがない人にどの作品を勧めるかと問われたら、私は間違いなくこの作品を勧めます。
上映時間も比較的短く、演出もキレがあり緊張と弛緩のバランスが素晴らしく、ロメロ作品が初見の人でも十分に楽しめる作品で、入り口としてはもってこいだと思います。
4位 – バタリアン
英題 | The Return of the Living Dead |
監督 | Dan O’Bannon(ダン・オバノン) |
制作年 | 1985年 |
1985年にすでにあった「走るゾンビ」-「オバタリアン」の語源
英題が「帰ってきたゾンビ」であることから、むちゃくちゃ斬新だったはずの「走って追ってくるゾンビ」という演出がただのロメロゾンビのパロディ映画と認識されて歴史に埋もれてしまった名作だと私は考えています。
淀川長治さんだったか、水野晴郎さんだったか、うろ覚えで申し訳ないのですが、TVの洋画劇場の解説の際に
「アメリカの映画館ではバタリアンを見て『ゾンビが走った!』ってみんな大笑いしてるんですよ。わたしは怖いなーと思ってみてましたが文化の違いですかね」
というコメントをされていたのを記憶しています。早すぎる演出だったのか・・私には実際のところはわかりませんが、ともあれ「本当に怖い走るゾンビ」は2004年の「ドーン・オブ・ザ・デッド」までおあずけとなりました。
さてこの映画ですが、公開当時に見た印象とその後何度も見た印象ですが、パロディ映画という印象はないんですよね。多少、皮肉とユーモアの効いた感じはありますが根幹はしっかりとしたゾンビ映画です。
「オバンバ」「タールマン」など、公開当時から話題になったゾンビの造形の種類の豊富さもゾンビ映画好きには見逃せません。この作品のゾンビの造形はゲームにおけるゾンビにも相当影響を与えたと思います。
ちなみにアメリカではそれほど知名度は高くないのか、アメリカ人の知り合い(ゾンビ好き)に聞いてみたのですが「え、オバノンのゾンビ映画?」という反応でした。
3位 ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
英題 | Night of the Living Dead |
監督 | George Andrew Romero(ジョージ・A・ロメロ) |
制作年 | 1968年 |
伝説はここから始まった – 古いのに古さを感じさせない
ロメロ監督のゾンビ3部作の1作目。モノクロ映画ですが、それによって特撮技術の古さが目立たず、今見てもそれほど古さを感じさせません。そのためロメロ未見者にもオススメできますが、どちらかというと「死霊のえじき」を見てからのほうがいいかなーというのが私の感想です。
基本的に一軒の家だけで舞台が完結しており、登場キャラクターも限定されていることから、どのキャラが何を考えて行動しているのかがわかりやすく、ロメロ作品の中でも初見でもとっつきやすいほうに入る作品です。
2位 – ドーン・オブ・ザ・デッド
英題 | Dawn of the Dead |
監督 | Zack Snyder(ザック・スナイダー) |
制作年 | 2004年 |
そして「走るゾンビ」「強いゾンビ」は広がった・・
英題は「Dawn of the Dead」で、ロメロ監督の「ゾンビ」と同じ。
つまり完全リメイク、直球勝負の作品です。
本当は今回のランキングで1位にしたいくらいの作品で、最後まで迷いました。
大作のリメイクでありながら妙な力み、「権威に歯向かう俺かっけえ!」みたいなアレですね、そういったものがない。
純粋にオリジナルをリスペクトしつつ、新たな演出を加えて昇華させたという、私としては非常に好印象な作品です。
さてこの作品ですが、主な舞台がショッピングモール、ショッピングモールから安住の地を求めて旅立った後までが描かれるというオリジナルファンも胸躍らせるプロットです。
逃げても超速ダッシュで追いかけてくる、しかもメッチャ強いゾンビ
ゾンビは本当に強く、走るし、腕力がハンパなく強いし、動きも素早い、一対一でもバットやナタ程度の武器ではとうてい勝てる気がしない強さです。この作品から「強いゾンビ」が頻繁に映画で描かれるようになっていったというのが私のイメージです。
1位 – ゾンビ
英題 | Dawn of the Dead |
監督 | George Andrew Romero(ジョージ・A・ロメロ) |
制作年 | 1978年 |
動かしがたい1位
1位はやはりこの作品になりました。ただ最初に言っておくと、この作品が一般向けか?ロメロ未見の方に最初にオススメするか?と問われると、ちょっとそれは違うんですよね。
実際にロメロ未見の人にこの「ゾンビ」を見せると「これってどういうこと?」と質問攻めにあい映画の内容に集中できないこともありました。「ゾンビ」はちょっだけ難解な映画かもしれません。
宗教的ですらある、創造と破壊と愚かな人間の物語
昔、何で読んだか忘れたのですが、「ゾンビ」の感想/批評として以下のような文章をみたことがあります。内容はうろ覚えです。
ショッピングモールという地にたどり着いた4人は「神」であって「創造主」である。そしてそこに集うゾンビたちは不完全な「人間」である。神はがんばって楽園と秩序を作ったけどそこにバイカー軍団という「悪魔」が現れて楽園は破壊されてしまった。「ゾンビ」にはそうした宗教的なモチーフも込められているのではないか。
大量消費社会への批判
ロメロ監督ならではの社会批判が込められているとはよく言われますね。
年齢を重ねると見どころが変わる
私が「ゾンビ」を初めて見たのは小学生の時でした。その時の感想は「ゾンビ怖い」「SWATカッケー」。中高生くらいに再見すると「ショッピングセンターでモノ取り放題スゲー」。
大学生になると「ショッピングセンターでモノ取り放題、ここにロメロはどんなメッセージを込めたんだろう?」などど着眼点というか私のアンテナの引っ掛かりどころが変遷していきました。
そのくらい、深みのある、それでいて軽くバトルホラーとして楽しむこともできる、懐の深い作品だと感じます。
おわりに
今回の記事では私の好きなゾンビ映画をランキング形式で紹介してみました。
最後まで読んでいただいてどうもありがとうございました。